窒化物半導体/SiCヘテロ接合を用いた電子デバイス

携帯情報機器の爆発的普及により、私達は無線通信技術の恩恵に浴していますが、より多くの情報(テキスト→画像→動画)を速く、かつ遠くに伝えたいという要求は高まる一方です。この無線通信技術のキーデバイス(高周波トランジスタ)には、動作周波数の向上、送信電力の増大、歪や雑音の低減が要求されます。現在この分野で使用されているSiやGaAs系の材料を用いたトランジスタでは、その材料固有の性能限界に近づいており、デバイス構造の工夫や微細化技術だけでは、これ以上の高性能化は困難な状況にあります。本研究室ではこの分野で極めて有望なIII-V族(III族窒化物)ワイドギャップ半導体の研究を行っています。結晶成長や表面・界面制御の系統的な基礎研究に力を入れるとともに、ユニークなワイドギャップ半導体の新展開として、周期律表の違い(III-VからIV-IV)、結晶構造の違い(ウルツ鉱構造、4H/6H構造)を越えた窒化物/SiC界面を利用した電力用パワーデバイスや高周波パワーデバイス、これまで報告のない新規結晶構造を持つ窒化物半導体、光デバイスへの波及効果も期待される無極性面窒化物結晶成長の実現を進めています。

現在進行中の具体的なテーマとして以下のものがあげられます。

  • AlGaN/SiC界面電子物性制御による高性能AlGaN/SiC Heterojunction Bipolar Transistorの実現
  • AlN/SiC界面制御によるSiC(0001)面上への超高品質AlNの結晶成長
  • ナイトライド成長に最適化されたSiC(0001)ウエハーの研究開発
  • 無極性SiC基板を用いた超高品質無極性AlNの実現と無極性面を活用した光・電子デバイスの作製