学科の研究室紹介に書ききれなかったメッセージ、いろいろな情報を掲載しています。当研究室への配属を検討している人は目を通して頂ければ有難いです。
本研究室の紹介を記したトップページも是非ご覧ください。
半導体物性工学分野
木本 恒暢・金子 光顕
< はじめに >
当研究室(電子物性工学講座 半導体物性工学分野)では、半導体および関連する電子材料を対象に、半導体物性の解明と制御、半導体微細構造の作製、および既存材料やデバイスの限界を大きく突破する超高性能電子デバイスの実現を目指しています。単に半導体デバイスを作製するのではなく、京都大学らしい学術的な基盤研究(例えば、技術開発ではなく半導体物理の研究)を行い、エネルギー・環境問題に直接的に貢献することを目指しています。(個々のテーマの詳細については研究テーマのページを参照してください)
当研究室では、非常に多く(15以上)の研究テーマが進行しています。幸い、世界トップレベルと認識され、その分野の研究を牽引しているテーマもたくさんあります。「学生と教員の議論を通じた独自の着想」、「粘り強い研究完遂力とプレゼン能力の育成」、「研究を行う良好な環境(研究設備、先輩との議論など)の維持とさらなる改良」に力を注いでおり、研究の醍醐味を経験してもらうよう努めています。
< 卒業研究の進め方 >
4回生の方々が卒業研究を始める際、研究テーマの決定についても、各々の学生の希望を尊重します。具体的には、複数のテーマを提示し、4回生で相談して決めてもらっています(教員から一方的に指定することはしません)。基礎的事項と研究背景の勉強、および最初の研究の進め方については、教員や先輩が丁寧に指導しますが、ある程度一人で研究できるようになれば、4回生も自分の考え、計画に沿って研究を進めてもらいます。つまり、研究指導においても学生の自主性を尊重します。放任する訳ではなく、学生さんが主体的に研究する(自立する)スタイルを奨励しているのです(頻繁にミーティングを繰り返すことはしません)。
なお、若干補足しますが、自主性を尊重するというのは、決して自由な時間が多くヒマ(遊んで楽できる)ということではありません。自由な時間を自分の意志で、いろいろな専門書や論文を読んで勉強したり、実験技術の改良を検討したり、実験データを解析するために独自のモデルを考案するなど、自主的に研鑽を積むということです。このような「自己研鑽」は、一流の技術者・研究者として欠かすことのできない素養です。
研究では、自分で考えたモデルを確かめるために、納得するまで実験を繰り返すこともあります。また、研究では、誰も試みたことがないことに挑戦することになりますので、紆余曲折の末、最後の最後で成功を勝ち取ることもあれば、当初の予想とは異なる思いがけない現象に遭遇(発見!)することもあります。研究室の先輩達が、自分から進んで研究に打ち込んでいるのは、自分のアイデアを実証したい、世界でまだ誰も成し遂げていないことを実現したいという、内なる熱い思い、情熱があるからです。
< 研究テーマの設定について >
当研究室では、非常に多くの研究テーマを設定しており、4回生もかなり独立性の高いテーマを担当してもらいます。先輩の手伝いをすればよいというのではなく、自分で考えて実行する必要がありますので、ある意味では厳しいかもしれません。しかし、自分のテーマですから大変やりがいがありますし、成果が出たときには、すぐに自分が筆頭著者となって学会発表や論文投稿する機会に恵まれます。
研究内容は、新しい半導体材料の作製、物性評価、デバイスの作製と特性評価など実験が主体となりますが、半導体物性の解明やデバイス特性を予測する理論研究を行う人もいます。(メンバーは多彩、多様で本当に面白い環境です。)
< 当研究室の特徴 >
少し専門的になりますが、半導体の研究をしているグループで、材料・物性研究(材料作製、物性解明と制御)からデバイス研究(構造設計、作製、特性評価)までをカバーしているところは世界を見渡してもほとんどなく、これが当研究室の大きな強みになっています(ほとんどの研究室は、材料研究のみ、あるいはデバイス研究のみです)。したがって、当研究室では、材料研究で面白い知見が得られたら、すぐにこの成果を(自グループで)デバイス研究に応用でき、世界水準の研究の相乗効果を発揮できます。
また、上記のように、当研究室では学部4回生、修士、博士課程に関わらず一貫して「未来の研究者(研究者としての力を身につける意欲、志のある人)」としてお互い接しています。自主性を尊重し、研究会で対等に矛盾や疑問をぶつけあうのは、1人1人が研究者としての意識をもっているからです。本研究室のこの指導方針は、博士課程への進学、すなわち、研究のプロフェッショナルの道を選ぶ学生が多いことにも繋がっていると考えています。
当研究室では、学生の学会発表や論文発表を促しています。博士課程、修士課程の学生が、参加者500名以上の国際会議で堂々と招待講演を行うこともあります。本研究室ホームページの「受賞」欄を見てもらうと分かるように、学生の学会受賞が多いのも特徴です。学生さんの成長や栄誉を目の当たりにするのは、教員としてこの上もない喜びです。
< 最後に >
次のことに1つ以上当てはまる人は、是非、当研究室への配属を検討してみて下さい。
- エネルギー問題の解決にエレクトロニクス分野で貢献したい人。
- 半導体物性・半導体デバイスに興味がある人。
- 科学的思考が好きで、理論だけでなく実験をしてみたい人。
- 実際にモノ作り(半導体結晶、デバイスの作製)をしてみたい人。
- 最先端の機器を縦横無尽に操って未知の現象を発見し、それを解明したい人。
- とにかく意欲のある人。
さあ皆さん、これまでの大学の講義や実験・演習とは質的にまったく異なる世界がこれから始まります。当研究室で、皆さんが、主体性を持って研究テーマに挑み、半導体分野をリードする研究者・技術者としての実力を身につけてくれることを期待しています。
教員・学生一同、若い皆さんとの接点を楽しみにしています。まずは、研究室見学にお越し下さい。公式な研究室見学会以外の日でも歓迎します。
主な就職先について
基本的には他の電気系研究室と同様です。一点挙げるとすれば、博士卒の学生であっても会社に行く方が多いです。
学士・修士卒:
三菱電機、住友電気工業、デンソー、日立製作所、ローム、京セラ、トヨタ自動車、豊田自動織機、キーエンス、ソニー、キャノン、村田製作所、三菱重工業、IHI、SanDisk、HUAWEI、JR西日本、全日本空輸、三菱UFJモルガンスタンレー証券
博士卒:
三菱電機、デンソー、トヨタ自動車、日立製作所、ローム、産業技術総合研究所、電力中央研究所、京都大学、大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学、豊橋技術科学大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、スイス連邦工科大学チューリッヒ校